規制緩和の余波で促成された日本のコミュニティ放送は、地域情報の共有や地域防災の必要性から開設数は増加しているが、株式会社の自立した経営が期待され、運営支援の制度や仕組みが政府レベルでも、地域レベルでも熟慮されてこなかったため、廃局も出ている。 しかし海外のコミュニティラジオは、「コミュニケーションの権利」に依拠した権利の実態装置として本来非営利で運営される公共的性格が濃厚で、支援システムが織り込まれた制度となっていたり、住民自治で寄付やカンパで持続可能な在り方に認知が行き渡っている。また、自治的な討議の回路としても有効で、政府権力と住民との対峙の際にも機能しているコミュニティ放送が少なくない。 本研究はそうした国外のコミュニティラジオのなかから、日本のモデル構築に役立つ事例や制度を探索し、日本との比較を行い、日本型のコミュニティラジオの在り方への提言に資する研究を行う。 各分担者が、使用言語や関心において対象国を決め、それらの国々のコミュニティラジオやコミュニティ(映像)チャンネルの実態と制度を調査し、成果を持ち寄り、比較検討や事例報告を公開の場で行う。
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