研究分担者 |
谷 宏 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (80142701)
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30203235)
島田 沢彦 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (90349811)
山田 浩之 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (10374620)
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研究概要 |
インドネシア中央カリマンタン州では, 1990年代に熱帯泥炭地の大規模な農地開発が進行し, 森林伐採および排水路の掘削により泥炭地の乾燥化(荒廃)が進んだ。このような泥炭地の荒廃を防ぎ, 環境を修復することを目的に, 排水路を小規模なダムでせき止め, 泥炭地の地下水位を上昇させる試みが進められている。, 地下水位の上昇により泥炭の分解が抑制され, CO_2の放出量が減少することが期待されている。本研究では, このようなダムによる水文環境の改善が熱帯泥炭のCO2収支に与える影響を評価するために, 微気象学的方法(渦相関法)により, 陸上生態系からのCO_2放出速度(生態系呼吸量)を, また自動開閉式チャンバーシステムにより土壌からのCO_2放出速度(土壌呼吸量)を連続観測するとともに, 気象要素, 土壌環境などの測定を行った。 土壌呼吸量は地下水位の影響を強く受け, 水位が低下するにつれて土壌呼吸量が上昇, すなわち泥炭の分解が急激に進むことが確認された。特に, 環境撹乱が深刻に進行した森林伐採跡地においては地下水位の低下にともなう土壌呼吸量の上昇が顕著であった。この地域は, 明瞭な乾季が存在し, 乾季の後半には地下水位が大きく低下する。しかし, ダムによって排水路が堰上げられた結果, 地下水位の低下が抑制された。ダムの建設前後で比較すると, ダム建設により土壌呼吸量の低下が明らかとなった。このことは, ダムによって泥炭の分解が抑制され, CO_2の放出量が低下したことを意味する。
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