研究概要 |
(1)中国における電磁気観測 昨年度,中露国境近くの密山(ミーシャン),中蒙国境近くの錫林浩特(シリンホト)に3成分磁力計を設置し,磁場観測を開始した.両観測点とも,中国東北部遷移層に存在するスタグナントスラブに関連する広域深部構造を調べるため,中国における3成分磁場観測の空白域をうめたものである.その観測を平成21年1月まで継続した.平成20年11月に再び現地に赴き,両観測点の磁場データ取得状況を調べると同時に,ミーシャン観測点において,中国地震局によって設置された地電位差観測網を用いた地電位差テスト観測を行ったミーシャンでは電源の不調から3カ月分のデータしか取得することが出来なかったが,シリンホトでは1年間連続してデータが取得されていた.鉛直磁場-水平磁場間のGDS応答関数を推定したところ,シリンホトについては10日までの長周期応答関数が推定できた.(2)既存データの解析 (2)既存データの解析 中国地震局地質研究所のTang, Zhao両教授の研究グループと共同して,中国政府によって整備された磁気点のうち,中国東部の約30点の磁場3成分データの解析を行い,周期100日までの長周期GDS応答関数を推定した.上記のシリンホトのデータをあわせ,マントル遷移層に至る北西太平洋域の標準的1次元電気伝導度構造から予想される応答関数との比較を行った.その結果,中国東部は平均して北西太平洋より比抵抗が高く,その中部から北部にかけて大規模な低比抵抗域が存在する可能性が明らかとなった.
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