研究分担者 |
前田 晴良 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10181588)
重田 康成 国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (30270408)
小玉 一人 高知大学, 海洋コア研究センター, 教授 (00153560)
西 弘嗣 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (20192685)
高橋 昭紀 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (80434257)
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研究概要 |
1.野外調査結果 代表者の棚部と研究協力者のジェンキンズ,ロバート(東大21世紀COE特任研究員),カイム,アンドレイ(学振外国人PD)の3名は,平成18年6月14日から23日の期間,米国アラスカ州南部Talkeetna山地の海成上部白亜系を地質調査し,冷湧水起源の炭酸塩岩の周囲に特徴的に産する化学合成貝類群集の産状を観察するとともに,多数の化石試料を採集した。これと並行して,ジェンキンズ,カイムは北海道夕張市,三笠市,中川町などに分布する海成白亜系中に含まれる冷湧水起源の炭酸塩岩とそれらに随伴する特異な化石群集の調査と試料採集を行った。 2.室内研究 平成18年と19年の野外調査および採集岩石,化石試料の室内研究を行い,1)北太平洋域の海成白亜系に特徴的に発達するメタン冷湧水起源石灰岩の形成過程とそれに伴われる化学合成群集の古生物学的特徴をまとめ,国際誌に発表した。とくに,北海道羽幌地域の上部白亜系から産した長頸竜類骨化石に随伴する小型の貝類群集を現生種と比較検討した結果,骨遺骸に成立した化学合成貝類群集であることを明らかにした。これは,中生代の海生爬虫類遺骸に成立した化学合成群集としては世界初の報告である。このほか,カナダ,バンクーバー島および北海道の海成上部白亜系から産した大型鞘形類の顎化石を調べ,2新属3新種として記載報告した。本報告は,白亜紀後期の海洋生態系の古生物地理や進化を考える上で重要な知見と考えられる。
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