研究分担者 |
仲上 健一 立命館大学, 政策科学部, 教授 (10109077)
林 隆久 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (70231529)
篠田 成郎 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (80187369)
林 泰一 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10111981)
芹澤 重厚 京都大学, 防災研究所, 助教 (70301249)
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研究概要 |
インドネシア、西カリマンタン州のカプアス川流域の基本調査と,流域の開発計画に対する環境アセスメントを行うための,以下のような調査研究を実施すた。 1)水銀汚染,森林破壊,流域開発計画に対する環境影響評価を行うための現地調査,基本情報の収集を行った。2)ALOS衛星画像データおよびDEM(HydroSHEDS),土地利用,地質,河床地形,流量,降雨、気温等の気象および地理情報を収集,解析した。環境アセスメントに用いた数値モデルは、広島大学大学院国際協力研究科に構築したアジア環境シミュレーターの一部である。本研究では、メソ気象モデル+水文流出モデル+陸面植生モデルの結合モデルを用いた。これによる水循環(降雨,流出,蒸発散の再現計算),水文流出および物質輸送の追算を行った。モデル検証のための河川流量、気象の既存データを収集したが、その信憑性に問題があるため、TRMMや気象再解析結果との比較を行った。3)大気・陸面結合モデルで熱帯雨林におけるCO2の収支シミュレーションを実施するため、ポンティアナック市内の熱帯林中でCO2の鉛直分布(0.7m〜4.07mの6点)の時間変化の計測を行った。これから、夜間は土壌呼吸のため地面近傍のCO2濃度は550ppmまで上昇し、昼間は鉛直混合が激しく一様に370ppmになる日変化特性が得られた。4)2006年1月から2007年6月の1年半の降雨シミュレーションおよび水文流出解析からは,上流域で1,000〜13,000m3/s、下流域で2,500〜20,000m3/sの流量変動が発生しすることが計算された。5)開発に伴う環境保全や防災面での問題点の指摘とあわせて,森林の景観生態学的評価と遺伝子組み換え樹種による森林再生の可能性の両面から,熱帯林の生態学的機能維持に対する基本方針を提示するため、熱帯林に適用するための動的植生モデルを開発中である。6)最終年度は、これまでの流域調査、水文、気象、森林情報収集、水循環、物質輸送数値シミュレーション結果に基づき、流域開発への環境影響評価を行うとともに、州都ポンティアナック市の都市環境変化を明示する予定である。
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