研究課題/領域番号 |
18404006
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川瀬 博 九州大学, 入間環境学研究院, 教授 (30311856)
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研究分担者 |
岩田 知孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (80211762)
入倉 孝次郎 京都大学, 名誉教授 (10027253)
佐藤 俊明 清水建設, 施設基盤技術センター, 主席研究員 (80393560)
佐藤 智美 清水建設, 施設基盤技術センター, 主任研究員 (00393562)
笹谷 努 北海道大学, 工学研究科, 教授 (10002148)
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キーワード | アレー微動 / 強震動予測 / 堆積盆地 / グルノーブル / 地下構造 |
研究概要 |
本研究で明らかにしようとしているのは、日本とはおかれている地質環境が大いに異なる欧州において、日本がここ10年間で精力的に開発してきた強震動予測・被害予測スキームが同じように有効であるかどうかを確認することである。その目的のため、カウンターパートとして共同研究の申し入れがあったフランスのグルノーブル大学と共同で、微動計測によってグルノーブル盆地の地下構造探査を実施し、それに基づいて想定される最大地震によるグルノーブル市内の強震動を予測する。地震動の予測精度については、観測されている比較的近地の小規模地震の記録を用いて行う。この調査研究によって、日本独自の技術として発達してきた強震動予測技術が、地質環境が異なる地域に対しても適用できる汎用性を有していること、従って世界に広がる地震に対して脆弱な地域に広く適用していくことができるということが示されるものと期待される。 平成19年度には2005年フランス南西部・グルノーブル盆地の南側で発生したLaffrey2005イベントで観測された非常に長い継続時間をもつ記録の再現を目指して地震動の時刻歴波形の継続時間とエネルギーを抽出し、グルノーブル盆地で発生した他の地震記録及び三次元差分法を用いたシミュレーション結果により分析を行った。その結果岩盤側に風化層を考慮することにより岩盤側の継続時間を増大できること、表層を柔らかくすることで多くの観測点の継続時間は説明できるが北東部の特に継続時間の長い地域の継続時間は説明できず、局所的にかなり軟弱な表層を考える必要があること、が指摘できた。 一方、その地域での地盤調査の分析も進め、ボーリングでもアレー微動でも表層に約25mの層厚の軟弱な表層が存在していることがわかった。従って観測された非常に長い継続時間はこの表層に起因する可能性が高い。
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