(1)本研究は、第2次大戦後長期間にわたってそれぞれ同一の農村住宅・集落を対象にして定期的、継続的に観察調査を行い、それぞれの方法で農村住宅・集落の変容過程とそのメカニズムを追跡しているフランス、スペイン及び日本の建築学・環境学・社会学の研究者が国際的な協調・共同体制をとり実施するユニークな学際型共同研究である。 (2)事前によく調整された同一の視点と方法で3カ国研究者の同時参加型調査をフランス、スペイン両国において実施することにより、それぞれの研究グループが各自の調査方針と基準で行っていた従来の方法では必ずしも明瞭にとらえられなかった新しい変容と維持のメカニズムを探り出すと同時に、それぞれの農村地域に特有の循環型生活と集落環境システムの実態及びその特性を解明し、別途実施する日本(北海道地区)の農村住宅・集落調査事例と比較検討する。これによりこれからの地球環境時代に重要性を増す地域循環型ライフスタイルと集落環境システムの再生・維持方法についてそのあり方を総合的、統一的に検証する。 (3)具体的には仏・西2カ国の定点観測対象農村集落・住宅において、共通の方式で、(1)集落の配置形態と土地利用・地域環境実態調査、(2)集落内農村住宅の間取りと住まい方の実態調査、(3)集落内農家の近隣生活実態調査及び営農実態調査をそれぞれ実施する。さらにこれらの調査資料を総合的に検討することにより、(4)各地域の農村住宅の変容過程と変容・維持・再生のメカニズムを検証すると同時に、(5)これからの循環型社会において望まれるライフスタイルと集落環境システムのあり方について検証を加え、同時に日本の場合と比較考察することにより、より多様でユニバーサルな農村住宅・集落環境像を提案する。
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