研究分担者 |
瀬尾 和大 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30089825)
元結 正次郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (60272704)
元木 健太郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (60334520)
黒津 高行 日本工業大学, 工学部, 教授 (20215114)
高橋 宏樹 ものつくり大学, 技術工芸学部, 助教授 (60226876)
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研究概要 |
本調査研究の初年度に当たる平成18年度は、悉皆的な調査と併せて、一部の遺構について重点的に調査を実施した。調査は、トルコ共和国東部の都市エルズルムとその周辺地域、およびタオ・クラルジェティ地域において行い、調査期間は、トルコ側協力者との調査事前打ち合わせを目的とした第1次調査として、平成18年6月9日から6月23日まで、対象遺構における実地調査である第2次調査として、平成18年8月30日から10月2日までの計2回である。調査対象は、7世紀〜15世紀頃に創建された22棟の遺構とした。 具体的な作業としては、主に写真撮影、ビデオ撮影、モルタル採取を行った。また、Yakutiye Medresesi, Cifte Minare Mederesesi, Kale Mescidi, Ferruh Hatun Kumbeti, Ishan Kilisesi, O ; kvank Kilisesi, Dort Kilisesi, Barhal Kilisesiの各遺構では写真測量を、Abrenk Kilisesi, Ishan Kilisesi, Hamaml kilisesi, Yeni Rabat Kilisesi, Barhal Kilisesiでは平面実測を行い、詳細な遺構データを得た。 当年度における以上の調査から、既往の研究でも充分明らかにされていない当該地域における遺構の状況が把握できた。実測データに基づき、平面図及び写真測量による立面図を作成したほか、エルズルム及びその周辺に残存する墓廟建築に関する建築意匠の特質、キリスト教建築のドーム部における架構形式の特質について、一定の仮説を提起することができた。さらに、調査対象遺構に用いられる建築材料である石材及び石灰モルタルの性状の地域特性を把握した。これらの分析については、今後の調査によるデータの拡充を待って、精度を高めていく予定である。 次年度以降では、調査対象地域をさらに東部及び南東部へと拡大し、悉皆調査を継続するとともに、一部遺構については写真測量等を行い、重点的に調査を行う。また当年度の調査を踏まえて、常時微動測定等、地盤・地震特性に関する調査対象を選定し測定を行うほか、構造解析に適する対象の選定・分析を進める予定である。 なお本調査の成果は、日本建築学会の平成18年度関東支部研究報告集に報告されている。
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