研究課題
近年、工業化が盛んに進められている東アジア地域における環境ホルモン汚染が問題とされている。そこで、東アジア各国の研究者と共同で、環境ホルモン汚染実態解明に向けた共同調査を実施した。本研究は以下の特徴を持つ。1)韓国・中国・台湾・ベトナムの研究者とともに、これらの国において同一魚種、同一手法、同一評価基準による調査および分析を行い、汚染の実態を明らかにする。2)特に雌性ホルモン作用を持つ化学物質による汚染の状況と、これらの物質が魚類の生殖腺発達に及ぼす影響について解明する。3)これらの地域の研究者とともに国際会議を開催し、研究成果の公表を行うとともに、共同研究の推進および研究者交流を目的とした研究者ネットワークを構築する。4)このネットワークを母体とした次世代若手研究者の養成を目指す。平成19年度は、以下の点について研究を実施した。1)韓国沿岸における環境ホルモン汚染の実態調査:韓国各地でボラ採集し、生殖腺の組織学的観察を行うともに、血中ビテロジェニン濃度の測定を行った。その結果、韓国の複数の都市部沿岸域から捕獲したボラにおいて、高濃度のビテロジェニンが検出されるとともに、精巣内を持つ個体が見つかった。これにより韓国沿岸域でも、我が国と同様に雌性ホルモン作用をもつ環境ホルモン汚染が起きている事がわかった。2)韓国の研究者とのシンポジウムの開催:共同で進めている環境ホルモン汚染の実態調査の研究結果の公表および若手研究者の交流を目的としたシンポジウムを11月に長崎大学で開催した。これには中国の初めて研究者も参加した。3)中国研究者との共同調査の実施:上海水産大学のZhong 教授と上海近郊において環境ホルモン汚染の実態調査を実施した。現在、血中のビテロジェニン濃度および生殖腺の組織観察を行っている。
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Journal of Health Science 54
ページ: 235-239
ページ: 240-243
Journal of Experimental Zoology 307A
ページ: 324-341