調査研究実施国・地域:中国新疆ウイグル自治区の半砂漠やサバナなど乾燥地帯。 旅行経路:北京より中国に入国、空路ウルムチに移動し、新疆医科大学を拠点として調査を実施。 調査研究結果: 1)調査期間は平成22年8月28日から3日、場所はピチャン、トルファンを中心に実施した。調査には新疆医科大学 恵教授、Paride Abliz助教授が同行し、採集地選択の助言、現地案内人と意志の疎通を図った。 2)試料採集後、新疆医科大学の研究室で土壌から、希釈平板法およびエタノール処理法によって病原真菌関連菌、マイコトキシン生産菌およびそれらの関連真菌などを分離した。 3)本年度は病原性Aspergillusのうち特に、薬剤感受性が異なるため臨床上重要であるA.lentulus、A.udagawae、A.viridinutansなど非典型的なA.fumigatusを中心に分離を実施した。さらに、近年、新種として報告されたA.fumigatiaffinisも分離された。これら非典型的なA.fumigatusの分離頻度は日本国内より高かった。薬剤感受性の比較では、アゾール系抗真菌剤に対して耐性を持つ傾向がみられた。また、これらの菌種をPCRなどを用いて迅速に同定する方法も検討した。さらに、Aspergillusの有性型であるNeosartorya、Emericella属においては、分子系統的な検討、電子顕微鏡による微細構造の検討を実施したところ、新種と思われる菌株が分離された。これらを、新種としての学会誌に投稿した。
|