研究課題/領域番号 |
18405006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 茂明 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (20242175)
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研究分担者 |
浦川 秀敏 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (90370262)
鈴木 庸平 独立行政法人産業技術総合研究所, 深部地質環境研究センター, 研究員 (00359168)
土田 真二 独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物圏研究センター, 研究員 (30344295)
三宅 裕志 独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物圏研究センター, 特任研究員 (00373465)
山口 寿之 千葉大学, 理学部, 教授 (10101106)
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キーワード | 国際研究者交流 / パプアニューギニア:フィジー / 熱水噴出域 / 化学合成生物群集 / Provannidae科巻貝類 / 細胞内共生 / 空間分布 / 分子系統学 |
研究概要 |
化学合成細菌の細胞内共生は、深海の還元環境における固有動物群繁栄の鍵となる現象である。南西太平洋のマヌス海盆および北フィジー海盆の深海熱水噴出域で優占する3種のProvannidae科の大型巻貝類(アルビンガイ類とヨモツヘグイニナ)は、系統の異なる化学合成細菌と細胞内共生している。本研究では、炭酸固定系を異にする細菌との共生が、巻貝の空間的な分布の違い(住み分け)を生じさせ、種分化を促進しているという仮説の検証を目的に、9月8日から10月4日の間、海洋開発機構の支援母船「よこすか」の研究航海を実施し、南太平洋マヌス海盆のパックマヌスサイトで3回、ビエナウッズサイトで4回、北フィジー海盆で1回の「しんかい6500」による熱水噴出域の生態系調査をおこなった。航海に先立ち、2種のアルビンガイを簡便に識別するための分子生物学的手法を開発したが、船上での解剖、観察から両者を鰓の色で確実に識別できる事が明らかになった。いずれのサイトでも、90年代の調査時とは熱水噴出の様式や生物相に変化が観察され、アルビンガイ類の種組成にもそれに対応した変化が見られた。ミトコンドリアDNAの塩基配列に基づく集団解析の結果、南太平洋のアルビンガイ集団は他海域(マリアナトラフ、インド洋)の集団に見られた様な過去の急激な集団拡大が検出されず、比較的長期間に渡り集団サイズが安定に保たれていた事が示唆された。これは南太平洋では個々の熱水噴出サイトの環境変化はあっても、全体として常に多様な熱水環境が維持されていた結果と考えられる。現在、採集した生物の飼育観察、分類、系統解析、岩石、堆積物および熱水サンプルの化学、微生物学的分析等が進行中である。
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