研究分担者 |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
鈴木 庸平 独立行政法人産業技術総合研究所, 深部地質環境研究センター, 研究員 (00359168)
三宅 裕志 北里大学, 水産学部, 講師 (00373465)
山口 寿之 千葉大学, 理学部, 教授 (10101106)
狩野 泰則 宮崎大学, 農学部, 助教 (20381056)
|
研究概要 |
ビスマルク海,マヌス海盆の熱水噴出域(ビエナウッズサイト,PACMANUSサイトフィールドDおよびE)および北フィジー海盆のマッスルヒルズサイトに見られる化学合成生物群集の優占種である2種のアルビンガイ(タイプ1と2)およびヨモツヘグイニナと細胞内共生する化学合成細菌の系統を解析したところ,PACMANUSサイトフィールドDのタイプ2の共生細菌が,これまで報告されているどの共生細菌とも異なる系統の還元的TCA回路により化学合成をおこなうイプシロンプルテオバクテリアである事が判明した。これら巻貝類の生息場所から採取した海水の化学分析からアルビンガイ類が10-20℃の硫化水素濃度の比較的高い熱水混合域に生息するのに対し,ヨモツヘグイニナの生息域は4-8℃で,硫化水素濃度は検出限界以下であった。2種のアルビンガイ類が混在するビエナウッズサイトが巨大なチムニーを伴う熱水噴出であるのに対し,タイプ2のみが棲息するサイトは全て海底面の割れ目から熱水が湧出するdiffuseflow型であった。アルビンガイの棲息環境から採集した海水中の微生物群集構造解析から,全てのサイトで還元的TCA回路型の独立栄養細菌に近縁なガンマプロテオバクテリアが優占していたが,タイプ1が生息するビエナウッズサイトからのみ,その細胞内共生細菌に近縁な細菌が検出された。タイプ1が熱水噴出のテクトニックな背景や熱水の物理化学的性質より,噴出様式により分布が制約されており,生息環境の生物物理化学的因子の変化に敏感であるのに対し,タイプ2はより幅広い生物物理化学的因子に適応していると考えられる。以上の成果に加え,ヨモツヘグイニナが保育嚢を持つ事や二次共生細菌が存在する事が判明した。また,アルビンガイ類と共産する熱水域固有の蔓脚類,十脚甲殻類,小型腹足類の系統を解析した。
|