研究課題
本年度はビクトリア湖とタンガニイカ湖で野外調査を行った。ビクトリア湖の調査は9月から11月にかけて行われた。この調査では多くのシクリッドを様々な生息環境から採集し、計1700個体の写真、生態情報、生息環境、DNA抽出用のサンプルが集められた。とくに生息環境では光環境を詳しく調べた。50mの光ファイバーを用い、水深0m〜20mでの光を様々な透明度の場所でスペクトルメーターにより測定した。これまで海洋などでは水深が深くなるにつれて届く光は480nm近傍に収束することが知られていたが、ビクトリア湖ではこれより100nm程度長波長よりの580nm近傍に収束することが明らかになった。本年度の調査により得られた形態、生態の情報をこれまでに記載されている種の情報と詳細に照らし合わせたところ、驚いたことに多くの未記載種が含まれていることが判明した。またすでに絶滅したとされていた種が実はまだ生息していたことも明らかとなった。現在これらの種の情報をまとめた本の作成の準備を行っている。またDNA抽出用のサンプルを用いた集団遺伝学的解析も行っている。タンガニイカ湖の調査は12月から1月にかけて行われた。この調査はビクトリア湖のシクリッドの祖先系統である口内保育を行う系統の種を中心に行われた。タンガニイカ湖はビクトリア湖より水深が深いため、幅広い深さから4つの族(科と属の中間の分類群)の種を数多く採集し個体の写真、生態情報、生息環境、DNA抽出用のサンプルが集められた。本年度の調査により、タンガニイカ湖に生息する約250種のシクリッドすべての収集を網羅することができた。現在これらの種の遺伝子の解析を行っている。
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