研究課題/領域番号 |
18405009
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
上田 恵介 立教大学, 理学部, 教授 (00213348)
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研究分担者 |
江口 和洋 九州大学, 理学研究院, 助手 (60136421)
高須 夫吾 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (70263423)
西海 功 国立科学博物館, 動物研究部, 研究員 (90290866)
高木 昌興 大阪市立大学, 理学研究院, 講師 (70311917)
濱尾 章二 国立科学博物館, 自然教育園, 研究員 (60360707)
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キーワード | ミドリカッコウ / 寄生 / 社会寄生 / 労働寄生 / 宿主 / センニョムシクイ / 適応進化 / 共進化 |
研究概要 |
カッコウ類は熱帯域において、多様な放散を見せている。たとえはオーストラリア熱帯域には北半球とは比較にならないくらい多くのカッコウ類(14種)が生息し、さまざまな宿主に対して托卵適応を進化させている。そこで本研究ではオーストラリア固有の托卵性鳥類であるミドリカッコウ類Chrysococcyx5種に焦点を当て、托卵鳥と宿主の相互適応システムについて野外研究をおこなった。ミドリカッコウ類はHorsfield's Bronze-cuckooとLittle Bronze-cuckooの2種がオーストラリア北西部熱帯、残りの3種が南西・南東オーストラリアで繁殖することが知られている。これらオーストラリアのミドリカッコウ類の標識個体群の野外研究と遺伝学的分析により、1)托卵鳥の宿主選好性、2)托卵鳥内と宿主に選ばれる鳥類の系統関係の相関、3)托卵鳥の卵、ヒナそれぞれのステージにおける宿主操作戦略、4)宿主側の対抗戦略を明らかにし、鳥類における托卵の進化に関する新しい進化モデルを構築することが本研究の目的である. 今年度はAustralia Northern territory準州Darwin市内のNightcliff周辺のマングローブ林に生息するハシブトセンニョムシクイ(Large-billed Gerygone Gerygone magnirostris)について、本種が古巣の近傍に営巣することが捕食率を20%程度下げる効果があるのではないかとされている点について、人工巣を用いて、1個のisolated nest、また3、5個のclumped nestsを約30m以上の間隔をあけて10箇所設置し、捕食率の違い(古巣自体に捕食率を下げる効果があるのか)について検証を行った。結果として、古巣の数により捕食率が異なる傾向は見られなかった。次に、巣の構造・特性が捕食に影響を与えているかを調べるために、自然巣9巣(捕食にあった5巣と巣立ち成功した4巣)でGLM(一般化線形モデル;binomial)を用い、AICc(補正AIC赤池情報量基準)を基準にモデル選択を行い、モデル平均(Model Averaging)により推定値および重要度を算出した。そして重要度0.5以上の変数を用いて尤度比検定を行い、捕食に遭う要因として、樹高の重要度が高いことを得た。また、重要度は0.27と高くない数値が出たが、次の要因の可能性として、巣が枝のどこに下がっているか(巣を営巣する枝の長さ全体に対し、どの程度基部に近いところに巣が付いているか)の割合があげられた。樹高が高いほど、捕食にあう、捕食者が来やすいという点で、鳥が捕食者である可能性が高いと思われる。巣を仕掛けた地点によって差がある傾向が見られたのは、樹高が関係していた可能性がある。 宿主の基本的な営巣生態についていくつかの重要な情報が得られたのが今年度の成果である。
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