研究概要 |
本研究は,平成14-17年度に研究代表者が行った海外学術調査「南米南部における白亜紀以降の植生変遷の解明」(no.14255007)による研究成果を発展させる目的で実施する海外学術調査で,平成19年度は,以下のようにチリ共和国内において現地調査を実施した。 1.現地調査概要 平成19年12月26日〜平成20年1月28目の期間に、チリ中部のナビダッド、チリ南部のマゼラン州プンタアレナス近郊のラスミナス,リエスコ島付近及びドロテアにおいて、古第三紀の植物化石採集と地質調査を行った。調査には,研究協力者として,福井県立恐竜博物館の矢部淳研究員,及びチリ国内のLuis Felipe Hinojosa(チリ大学)と学生2名、Miguel Rancusi Herrea(コンパニア・デ・マリア高校)が参加した。総計約200個の化石標本を採集し,チリ国家遺産委員会の輸出許可を得て船舶輸送し、現在横浜税関で通関審査中である。本研究では,ナビダッド層産葉化石の検討、チリ南部での含植物破片ノジュールの広範な地域における採集と産出層準の特定,ラスミナス周辺産地の時代検証,及びドロテア産葉化石の追加採集を主な目的としたが,いずれも充分な成果を得られた。また,ラスミナス南方のレニャ・ドゥラ川で材化石の新産地を見いだした。 2.資料の取扱い 採集資料は中央大学理工学部に到着後,各共同研究者,研究協力者に送付し,研究に供する。成果は逐次英文学会誌に発表する。平成18年度までに採集した資料については分担研究が進んでおり、平成19年12月1日には情報交換のための研究会を中央大学で開いた。また、リエスコ島の鉱化化石の高解像度X線CTによる解析が良好な成果を挙げており、10月と11月には中国と国内の学会において報告を行った。
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