研究分担者 |
服部 保 兵庫県立大学, 自然環境研究所, 教授 (00244690)
武田 義明 神戸大学, 大学院・人間発達環境学研究科, 教授 (90155028)
林 蘇娟 島根大学, 生物資源学部, 准教授 (10362914)
黒田 有寿茂 兵庫県立大学, 自然環境研究所, 助教 (30433329)
橋本 佳延 兵庫県立人と自然の博物館, 研究員 (60372140)
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研究概要 |
本研究は中国と日本に残されているすぐれた照葉樹林の構造と機能を比較観察し、その異同と人為的影響のあり方を植物学的に明らかにすることを通じて照葉樹林の持続性を考える科学的根拠を提供することを目的とし、特に照葉樹林林床の主要構成要素であるシダ植物に着目して日中間のその種組成の比較および種分化の解析を実施した。 平成19年度は中国では福建省武夷山世界自然遺産地域と雲南省西双版納自然保護地域において,日本では鹿児島県屋久島において調査を行った。 武夷山地域では武夷山自然保護区と武夷山山脈の北東部(茫蕩山)の照葉樹林のシダ植物を採集調査し,シダ植物の標本218点と細胞学分析用のサンプル(約50点)を採集した。日本に固有と思われていたナンピイノデノの細胞学的観察が出来、日本産のものと同じく2倍体であることが解った. 西双版納地域では、地形条件と照葉樹林下100m^2あたりのシダ植物の出現種数との関係を調査した. 2006年(16地点)と2007年(29地点)のデータを解析した結果,各地形条件における平均出現種数(地生シダ/着生シダ/全種の順に示す)は,尾根部(3.9/3.8/7.7),斜面上部(2.6/6.1/8.7),斜面下部(8.7/3.4/12.1),谷部(11.1/4.7/15.8)で,尾根部から谷部にかけて種数が増加する傾向は地生シダについては明瞭だが,着生シダについては不明瞭との予見を得た. 屋久島では,照葉樹林伐採により成立した二次林・植林下のシダ植物の多様性を調査した. 結果,各森林タイプにおける100 m^2あたりの平均出現種数は,照葉二次林で5.0種,植林で12.1種で,日本の照葉自然林の9.4種に比べ二次林では低く,植林では高い傾向があるとの予見を得た. 平成20年度調査では、西双版納地域における照葉樹林伐採により成立した二次林・植林下のシダ植物の多様性・種組成を調査し屋久島での傾向との比較分析を行う。また、武夷山地域では、引き続きシダ植物の種分化解析のための標本を収集し,DNA解析を進める。
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