研究課題/領域番号 |
18405016
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大柿 哲朗 九州大学, 健康科学センター, 教授 (20101470)
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研究分担者 |
斉藤 篤司 九州大学, 健康科学センター, 准教授 (90195975)
上園 慶子 九州大学, 健康科学センター, 教授 (00168618)
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キーワード | ネパール / 食塩摂取量 / 高血圧 / 肥満 / 糖尿病 / 身体活動量 / 栄養素等摂取量 / 生活習慣 |
研究概要 |
本研究の目的は、1987年に実施したネパールの山岳地農村と首都カトマンズの都市近郊地域において、20年後の総合的な調査を実施し、生活習慣病の発症率やその発症要因について検討することであった。山岳地農村(K村)は、かつて自給自足的農村であったが、現在は換金作物の栽培や水牛のミルクの販売によって現金収入が得られるようになり、また電気の供給、ヘルスポストの新設、学校や道路の整備など徐々にではあるが生活環境や生活形態が変化しつつあった。都市近郊地域(B地区)は、かつてはのどかな農村地帯であったが、その地理的条件から土地の値段が10-20倍に高騰し、1987年当時の農地が約4分の1となり、農村地帯が住宅化し、生活環境が大きく変化した地域であった。この両地区において、20年後に相当する平成19年に医学的調査(血液学的・血液生化学的調査、血圧測定、尿検査、診察など)、形態・体力学的調査(形態計測、体力測定、歩数調調、心拍数測定など)、栄養学的調査(栄養素等摂取量調査、食習慣調査など)、生活状況等の調査を行った。調査対象者は、20歳以上の成人で、K村が305名、B地区が323名であった。 平成20年度は、生活状況の補充調査や住民票の再整理を行うとともに、得られているデータの整理を行った。K村では1987年当時、肥満・高血圧・糖尿病などを有する者は皆無に近かっ新が、肥満者、糖尿病、高血圧者が数パーセント認められるようになった。また血中脂質の異常低値者が多かったが改善が認められ、総白血球の低下などが起こっていた。これらは食生活や衛生状態の改善の影響によると考えられた。B地区の場合、日本に比べれば明らかに少ないが、生活習慣病は増加傾向にあり、体力の低下も認められた。このB地区における生活習慣病の増加は、日常生活における身体活動量の減少や食生活の変化など生活形態の変化によると考えられる。
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