研究概要 |
インドネシア国,南東スラウェシ州ムナ島及び北スラウェシ州サンギへ島において,生育段階の異なるA.pinnataとA.microcarpaを伐採調査した.また,北スラウェシ州マナドのココヤシ研究所において,A.pinnataを伐採調査した.伐採後,生長形質を測定し,樹幹長に応じて3-8ヵ所で樹幹を切断して髄部を採集し,生重と乾物重を測定した。これらの乾物試料について,化学分析により全糖とデンプン含有率を測定した.A.pinnata:全長と樹幹長はそれぞれ13-21m及び2-14mの範囲にあり,いずれも花序出現前まで増加し,それ以降は増加しなかった.樹幹直径は24-32cmの範囲にあり,生育に伴う明瞭な変化はなかった.樹幹重と生存葉数の最大値は,それぞれ1379kg及び24枚となり,いずれも花序出現前まで増加し,それ以降は減少傾向にあった.樹幹髄部重とデンプン含有率は花序出現前の個体で最大値を示し,それぞれ496kg及び39%となり,デンプン収量は191kgと最大となった.マナドのA.pinnata(第一雄花序出現期)のデンプン含有率と収量はそれぞれ54%及び270kgを示し,ムナ島よりも高かった.A.microcarpa:全長と樹幹長はそれぞれ8-19m及び1-16mの範囲にあった.樹幹直径と樹幹重の最大値はそれぞれ15cm及び401kgとなり,ともにA.pinnataよりも低い値を示した.樹幹髄部重とデンプン含有率の最大値は,それぞれ157kg及び55%となり,最大デンプン収量は80kgとなった.両種のデンプンの糊化開始温度は75℃前後,最高粘度は550-700BU,アミロース含有率は35-50%で大差は認められなかったが,A.pinnataの溶解度と膨潤度は,樹齢による変異が大きかった。
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