アメリカ合衆国北西部からアメリカシロヒトリ個体群を採集し、前年度サンプリングのものと合わせ、ミトコンドリのアチトクローム・オキシダーゼ・サブユニットIの塩基配列から、極東(日本、韓国)、米国西海岸、東海岸に分布する黒頭型、赤頭型、マダラ型の近縁度を比較したところ赤頭型とマダラ型は非常に近縁で、黒頭型とマダラ型が最も離れていた。同所的に存在する赤頭と黒頭には休眠深度にも大きな隔たりがあることが判った。休眠深度の分化は春の羽化の時期を隔てる機構で同所的に競争者の存在するのも同士で分化が大きいということは、この部分に形質置換が働いていることを示すものであり、同所的に異時的なニッチが開いていると、この部分を専有する形で種分化に至る可能性を示唆するもので興味深い。合衆国本土の黒頭と極東の黒頭型の変異は極めて小さかった。日本では温暖化により2-3化の移行地帯が北上した。
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