平成20年9月から21年2月にかけてインドネシアの現地観測で炭酸ガス発生量のデータを蓄積し、発生時期・量と地下水位との関係を明らかにする予定であった。現地に設置した炭酸ガス連続測定用のチャンバー(換気部品)が、平成20年12月に故障が判明したしたため、本年度はデータの補足観測を行った。加えて、地下水位・サゴ生育、水耕栽培の追加試験と解析を試みた。なお、炭酸ガス発生装置は修理を行い現地へ搬入したが、再度故障した。そのためこれまで得られた炭酸ガス発生に関する自動測定と手動測定のデータの比較解析を行った。 炭酸ガスフラックスと温度は関係ないと初期のデータは示していたが、その後のデータでは温度に合わせて日変化を示した。この結果はマニュアルで測ったデータに近く、炭酸ガスフラックスは熱帯条件であっても温度に敏感に反応することが明らかとなった。 サゴヤシの生育と地下水位の関係について、調査期間を約6ヶ月ごとに区切り、期間中の幹高増加速度と平均地下水位の関係を検討した。その結果、平均地下水位が低いほど幹高増加速度が低下する傾向が認められたが、一定値以下の地下水位ではこの関係が認められなかった。 水耕試験の結果、葉数はNPK区と比べて-N区でのみ減少し、実験終了時の乾物重も、-N区でのみ減少する傾向がみられた。そして、-N区でのみ、葉や葉柄の乾物重が著しく小さかった。この結果は、圃場レベルでは明らかにできなかった窒素の役割が、サゴヤシの初期生育にとって重要な要因であることを示している。
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