研究概要 |
1)インドTocklai Tea Experimental Station (TTES)における調査研究および研究指導: 2007年6月16-23日の日程で、日本側から3名の研究者がTTESとの合同調査研究と研究指導を行った。前年度調査の結果、ダージリンではヨコバイとアザミウマによる虫害が観察されたため、ダージリン紅茶の香気形成への二種虫害の影響を分けて調べる必要性が生じた。そこで、TTESにおいてヨコバイとアザミウマを実験室で飼育できるよう指導し、人工飼育に成功した。次に、人工飼育した虫を用いて実験室レベルでチャ葉に虫害を与え、それを材料にして香気分析を行なうようインド側研究者に指導した。 2)インド側実験サンプルの香気分析: 2006年度の夏から秋にインド側研究者がダージリンの茶園において実験を行なったチャ葉サンプルについて、日本において香気分析を実施した。実験試料はチャ葉の虫害の有/無を目視により選別し香気分析に供した。虫害特有の香気成分として我々が同定した2,6-dimethylocta-3,7-diene-2,6-diol (diol)およびhotrienolが各サンプルから検出されたことから、目視による虫害有無の判定は難しいことが明らかとなり、改めて、実験室レベルでの人工加害試験の必要性を再確認する結果となった。そこで、2007年にTTESにて上記1)の人工飼育したヨコバイおよびアザミウマを用いて別々にチャ葉を加害させる予備試験を行い、日本側でその香気分析を行なった。その結果、無加害およびヨコバイ加害(?)に比べて、アザミウマ加害(?)チャ葉において顕著な香気生成が認められた。今後、人工加害試験を繰り返すことにより、2種の虫害を区別して香気生成への影響を詳しく解析することが可能となった。 3)新しい簡易紅茶製造法開発に向けた調査研究: 高品質な紅茶を簡便に製造するための新しい技術として、烏龍茶の製造技術を応用した実験を指導し、TTESにてパイロット機器を用いた製茶を行った。萎凋工程および撹拌工程の追加改良により、紅茶香気の改善が期待された。
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