研究概要 |
昨年度に引き続き,南米地域での植林ユーカリグランディスの表面成長応力に及ぼす肥大成長速度の影響をフィールド測定した.また,残留応力分布に及ぼす影響をも調査した.今年度の調査地は,ブラジル・ヒオグランジスル州ポルトアレグレ市近郊(17年生),およびアルゼンチン・パラナシト県(12年生)である.いずれも温帯(前者は南緯31度,後者は南緯33度,海抜は100m以下)であり,グランディスユーカリの植林南限である.表面成長応力(解放ひずみ)の絶対値は,昨年度までの成果をも考慮すれば,地域差があることがわかった.これが気候区分の違いによるものなのかは,今年度予定している,赤道直下での調査結果を待たなければならない.可能性として,高緯度地域では,表面成長応力が大きくなるのではないだろうか.個体直径(同一林齢を対象としているので,肥大成長速度に等価)の影響はなかった.残留応力分布についても同様な結果が得られた. 日本に,別途送付した木部試料を用いて,実験室内において繊維長や密度などの材質パラメータを実測し,表面における材質に及ぼす肥大成長速度の影響を調べた.表面成長応力同様,密度や繊維長などの材質パラメータは,肥大成長速度の影響は受けていなかった. ホルモン活性物質"Chopper"について,それが残留応力低減に及ぼす効果について興味を持っているが,その情報を入手した.今年度,試験的にChopperによる残留応力低減効果を調べる予定であるが,現地技術者に,環境汚染の可能性に注意するようアドバイスされた.慎重に進めてゆく予定である.
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