研究課題/領域番号 |
18405031
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
甲斐 諭 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (70038313)
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研究分担者 |
横川 洋 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (30007786)
鈴木 宣弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (80304765)
伊東 正一 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (30222425)
福田 晋 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (40183925)
堀田 和彦 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (00192740)
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キーワード | 農薬等のポジティブリスト制度 / 中国食品企業 / 残留農薬検査 |
研究概要 |
本年度の主要な研究成果は、日本における農薬等のポジティブリスト制度の導入にともなう中国の食品企業の対応を解明したことである。得られた結論は以下の通りである。 これまでの「会社+農家+農場」の管理システムが「会社+農場」に変わってきている。農家が自主的に土地を管理するのではなく、企業が直接農家を指導して土地の栽培管理をするようになっている。中国において、「会社+農場」の管理システムが着実に普及し、農産物の品質や安全に対する輸出企業の意識が明らかに向上している。大部分の農産物輸出企業は、自己の生産基地を所有して生産と品質の標準化を図っている。従って、輸出向け産地においては、新制度への対応ができない産地は淘汰されることとなる。また、輸出野菜産地においては、新制度への対応ができない産地は淘汰されるとともに、自社農場による生産コスト上昇を抑制するため、効率的な管理、農薬残留検査が可能となる「団地化された規模の大きな産地」の形成が推進されることが推測される。 中国国内の企業は輸出量を確保するために、日本以外の輸出市場を積極的に開拓し、日本市場からのシフトを図る多角化戦略を積極的に展開することが予想される。新制度実施にともない輸出企業は検査設備を導入しなければならず、これによってコスト増となった中小業者は日本市場から撤退することが懸念されている。日本における食品の安全性のニーズが高まれば高まるほど、中国の食品企業は、その対応のための管理費用、検査費用、残留農薬検査機器の購入費用等の新たな費用を必要としたため、生産コストの上昇を招くことになった。そして、その費用負担に耐えられる食品企業のみの対日野菜輸出が可能になるであろう。そうではない食品企業は、付加価値を得やすい高次加工へ切り替えによる輸出の促進と食品市場拡大のための中国国内向けへの販売先の変更を行っている。
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