研究課題/領域番号 |
18405037
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小沼 操 北海道大学, 名誉教授 (70109510)
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研究分担者 |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (90250498)
今内 覚 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (40396304)
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キーワード | トリパノソーマ / 薬剤耐性 / 抗原虫薬 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
トリパノソーマ原虫はアフリカや南米、アジアなどの熱帯から温帯地域にかけて広く分布し、ヒトや家畜に発熱や貧血を主徴とする感染症を起こす。南米ではTrypanosoma evansi(T. evansi)およびT. vivax感染による家畜の被害が報告されている。これらはアブ、サシバエなどの吸血昆虫の吸血によって機械的伝播をする。南米ではヒトにシャーガス病を起こすT. cruziの研究が主であり、家畜のトリパノンーマ病の報告は少ない。そこで、本研究では南米の家畜のトリパノソーマ病の実態を調査するため、ペルー共和国およびボリビ共和国におえてウシのトリパノソーマ原虫感染のPCR法による分子疫学調査と原虫のトランスフェリンレセプターESAG6遺伝子多型解析を行った。2008年5月ペルーのリマおよびワンカヨ、ボリビアのサンタクルスにおいて計648頭のウシから採血をを行った。DNAを抽出後、T. evansiおよびT. evansi感染をPCR法にて検出した。さらに、T. evansiのESAG6遺伝子の塩基配列をシンクエンシング法にて解析した。ペルーのリマでは104頭中6頭(5.8%)のウシからT. evansiが、4頭(3.8%)からT. vivaxが検出された。一方、ワンカヨでは29頭中感染が確認されたウシはいながった。ポリビアのサンタクルスでは510頭中59頭(11.5%)のウシからT. evansiが、5頭(0.9%)からT. vivaxが検出された。さらに、サンタクルスのT. evansiのESAG6遺伝子多型を解析したとこと、6つの多型を確認し、うち5つが新規多型だった。系統樹解析の結果、ボリビアのT. evansiのESAG6はアジアのT. evansiとは異なり、既に報告があるT.bruceiやT. equiperdumとも異なるCladeに集中していることがわかった。本研究の結果から、ペルー・ボリビア両国のウシでT. evansi、T. vivax感染がみられること、またボリビアのT. evansiがアジアのT. evansiとは異なるESAG6遺伝子を持つことが明らかとなった。
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