研究概要 |
農業国バングラデシュでは、作物栽培用水の大半は地下水に依存しており、近年、国土のおよそ90%の地域では、地下水のヒ素(As)汚染による国民の健康被害が報告されている(British Geological Sumey(BGS)Technical Report, Vol.1-4,2001、 World B ank Report,2005)。農地土壌及び作物との関連性も指摘されているが、明確な根拠がない。本研究代表者ロイは過去数年間にわたり、バングラデシュのヒ素汚染地域で、農地土壌・農業用水のヒ素汚染の実態調査を続けており、学術報告(Roy,2003,2004)をしてきた。これまでの調査結果から予想できることは、土壌への感染度は土壌の性質により様々あるが、作物・植物体内蓄積量も作物の種類により異なるということである。そのため、農作物の調査では、生育や成長過程(時期や季節)、ならびに作物の各部位(根、茎、葉、実など)の詳細な実態解明が重要である。そこで、本研究を実施するにあたって、バングラデシュの農村でよくみられる代表的な農作物を採取し、作物体内のヒ素濃度(総ヒ素量、As(III)、As(V))の状況を調べている。平成18年度には、地下水ヒ素汚染度が著しい地域にて、サンプリングを行い、第一段階の分析も終了している。現在、これまでの結果をまとめて報告することを計画しているが、結果により次のサンプリングの方針は、研究グループで話しあいの上実行に移したいと思う。
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