研究概要 |
バングラデシュ及びインドにおける地下水のヒ素汚染問題が地域住民の健康に被害が及ぼしている。農地土壌及び作物との関連性も指摘されているが、明確な根拠がない。本研究代表者ロイは過去数年間にわたり、バングラデシュのヒ素汚染地域で、農地土壌・農業用水のヒ素汚染の実態調査を続けており、学術報告をしてきた。これまでの調査結果から予想できることは、土壌への感染度は土壌の性質により様々あるが、作物・植物体内蓄積量も作物の種類により異なるということである。そのため、農作物の調査では、生育や成長過程(時期や季節)、ならびに作物の各部位(根、茎、葉、実など)の詳細な実態解明が重要である。そこで、本研究を実施するにあたって、バングラデシュの農村でよくみられる代表的な農作物を採取し、作物体内のヒ素濃度(総ヒ素量、As(III)、As(V))の状況を調べた。平成18年度には、地下水ヒ素汚染度が著しい地域にて、サンプリングを行い、第一段階の分析も終了している。平成19年度には、引き続きのサンプリング調査及び分析実験を行った。平成20年度(本研究プロジェクトの最終年度)には、バングラデッシュの首都ダッカで、バングラデシュ政府及び日本大使館の協力を得て、大規模な国際シンポジューム(8月)を開催し、研究成果を発信し、現地マスコミ等から大きな反響を得た。研究成果は、「Arsenic Calamity of Groundwater in Bangladesh:Contamination in Water,Soil and Plants」(英文178ページ)として刊行されている。
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