研究課題/領域番号 |
18406001
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
木村 昭郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70127645)
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研究分担者 |
兵頭 英出夫 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 講師 (30253074)
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キーワード | 骨髄異形成症候群 / MDS / 原爆被爆者 / セミパラチンスク / AML1 / 白血病 / 放射線 |
研究概要 |
セミパラチンスクの被曝様式は、低線量でかつ慢性の外部及び内部被曝であり、広島の被爆様式とはまったく異なっていることから、血液腫瘍の発生様式も異なっている可能性がある。我々は、原爆被爆者ではMDS発症のリスクが高く、遺伝子レベルでは造血幹細胞の分化増殖に重要な役割を果たしている転写因子AML1遺伝子の点突然変異を高率に見出した。またAML1変異を有する症例では、受容体チロシンキナーゼ(RTK)-RASシグナル伝達経路の遺伝子変異を高頻度に同定した。そこで、MDSと白血病の遺伝子レベルにおける原爆被爆者との比較を行い、被爆様式の違いによる異同を明らかにしようと試みた。最近10年間に収集したMDS・白血病125例の中で、MDS/AMLと診断した38症例を対象とした。AML1点突然変異は、骨髄あるいは末血よりDNAを抽出し、PCR-SSCP及び塩基配列解析により同定した。線量は現地のカザフ放射線環境医学研究所及び広島大学原医研星教授グループの個人線量のデータを参考にした。被曝線量別発生頻度は高線量群(300mSv以上)、中線量群(50〜300mSv)、低線量群(0.1〜50mSv)で、それぞれ2/2(100%)、0/4(0%)、5/12(42%)であった。一方非被曝(コントロール)群では0/11(0%)であり、有意な被曝(0.3〜0.6mSv以上)を受けた18例中7例(39%)にAML1点変異を認め、非被曝対照群に比し有意に高頻度であった。従って本点変異は原爆被爆者に関する結果と合わせて、放射線被曝関連のMDS/AML診断のバイオマーカーとなることを明らかにした。しかし低線量でも変異の頻度は比較的高く、線量反応関係に関してはさらなる症例の集積が必要であると考えられた。また見出されたAML1変異の局在はすべてN末領域であった。この結果よりセミパラチンスクの被曝においても原爆被爆と同様な遺伝子変異を造血幹細胞に誘発し、MDS/AMLの発症をもたらすことが推測された。
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