研究課題/領域番号 |
18406003
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
熊谷 嘉人 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00250100)
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研究分担者 |
山野 茂 福岡大学, 薬学部, 准教授 (80140755)
角 大悟 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30400683)
高野 裕久 独立行政法人国立環境研究所, その他, 健康系領域長 (60281698)
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キーワード | 大気汚染物質 / 親電子性物質 / 多環芳香族炭化水素キノン類 / 共有結合 |
研究概要 |
南カリフォルニア地区のロサンゼルスで発生するスモッグは、巨大都市間圏を通行する自動車の排気ガスが太平洋の湿った空気と結合して生じる汚れた灰色の霧のことである。この原因は、"Los Angeles basin"と呼ばれるように、周囲を山地で遮られて大気が吹き払われにくいという地形によるとされている。これまでの研究より、大気中ガス状成分にはナフタレン類が多量に存在することが示唆されている。昨年度の研究より、1,2-ナフトキノンに対する特異的抗体では、大気中微小粒子成分中の種々のナフタレンキノン体の検出は不可能であることが示唆された。そこで、多環芳香族炭化水素キノン体のような親電子性物質に対して感受性の高いglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)の活性阻害でモニターすることで、大気中微小粒子成分中の親電子性物質の存在を検討した。その結果、南カリフォルニア地区で採取した大気中微小粒子成分には、DTT添加でもGAPDH活性が回復できないような親電子性物質が存在することが初めて明らかとなった(Shinyashiki M et al., Atmos Environ 2008)。ナフタレン類は、粒子状成分よりむしろ揮発性成分に多く含まれることから、同様な地域において、XAD-2樹脂を用いて揮発性成分の採取を行い、同様な検討を行った。その結果、当該揮発性成分には多量の親電子性物質の存在が示唆された。したがって、大気中の親電子性物質は4環以上の多環芳香族炭化水素類というより、むしろナフタレンを含む2-3環の多環芳香族炭化水素類の可能性が高いことが考えられた。
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