研究課題/領域番号 |
18406012
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
太田 伸生 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10143611)
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研究分担者 |
熊谷 貴 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40369054)
二瓶 直子 東京医科歯科大学, 国立感染症研究所, 客員研究員 (70425677)
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キーワード | 日本住血吸虫 / 再興感染症 / PCR法 / LAMP法 / Oncomelania / 治療薬 |
研究概要 |
住血吸虫症対策で重要であるのは正確なcase detectionと適切な治療であるが、中国の旧流行地の状況は有病率の低下により感染濃度も低下し、従来の診断法では十分な対応が困難な状況となっている。そのような状況を克服するために検出感度の高い方法の導入を検討しているが、遺伝子診断法の応用は中国のように社会発展が一定レベル以上に進んだ国では実用化も可能である。今年度は中国の流行地の中間宿主貝の感染をモニターする方法として、初年度のPCR法の応用に加えて、LAMP法による感染貝検出の可能性について検討した。LAMP法は温度条件さえ適切に管理できれば、特別の機器を必要としない遺伝子診断法であり、流行地におけるon siteにおける応用性も期待される。今年度は実験室内の検討としては1中間宿主貝(Oncomelania)に1ミラシジウムを感染させた条件でLAMP法はPCRと感度が完全に一致することを確認した。これを実際に中国安徽省の流行地で採集した中間宿主貝より得たDNA試料でLAMP法による住血吸虫感染の検出を試みた所、感染貝と非感染貝はそれぞれ正しい結果が得られた。LAMP法による感染貝検出の実験では非特異的反応は見られておらず、LAMP法が簡便な感染貝検出法となりうることが考えられた。 中国国内の社会環境の変化に伴う流行地の拡大や移動を考える時に、流行地に分布する中間宿主貝が流行地外の寄生虫の好適な中間宿主になりうるのかという情報は疾病対策に必要な情報である。それぞれの流行地に分布するOncomelaniaが地理分布を異にする日本住血吸虫の発育を導くことが出来るのか否かを検討した。その結果、中国国内の流行地でも、地理分布の違いが一部で寄生虫と中間宿主貝の感受性の差異に大きく関与するデータが得られた。実際の疾病対策の戦術としての新規薬剤開発に関する基礎研究も進めた。
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