研究課題/領域番号 |
18406014
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡本 敬の介 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70131183)
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研究分担者 |
三好 伸一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60182060)
中尾 浩史 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20237217)
高橋 栄造 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70379733)
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キーワード | 腸管病原性大腸菌 / 毒素原性大腸菌 / エンテロトキシン / 病原因子 / アエロモナス / コロニーハイブリダイゼーション |
研究概要 |
ミャンマーは衛生状態も悪く、多くの腸管感染症患者が発生していると考えられるが、現在でも国は、科学の面では鎖国状態に近く、海外調査団による細菌調査も行われていない。それ故腸管感染菌の汚染の実体は不明であった。我々は本研究費の交付をうけたので、この度ミャンマーに出かけて、腸管感染菌の調査を行った。まず調査を行うには起点となる(調査の支援をしていただく)研究所や大学を決定しなくてはいけない。我々はヤンゴン市のDMR研究所・微生物部門との交流を持つことができ、この部門と共同して調査をすすめることとした。平成18年8月と平成19年1月にミャンマーを訪問し調査を行った。今回は腸管感染菌の中でも病原性大腸菌の汚染についての調査に集中して実施することとした。腸管病原大腸菌は保有する病原因子の違いにより、毒素原性大腸菌、病原性大腸菌、侵入性大腸菌、出血性大腸菌、凝集性大腸菌に分類されている。これらの腸管病原性大腸菌の病原性因子は可動性を有する遺伝子にコードされている。それゆえ衛生状態の悪い地域で、これらの病原性菌の汚染率が高まれば、これらの因子が一つの菌に複数感染し,複数の病原性因子を産生する毒性の強い大腸菌の出現も予想されうる。それ故調査は必要である。そこでヤンゴン市内の病院に下痢で入院した子供の患者213名から便を採取して、大腸菌を分離した。これらの大腸菌が保有する病原因子をコロニーハイブリダイゼーションで検出した。その結果、病原性大腸菌が6.57%の割合で検出され、次いで易熱性エンテロトキシン産生株が2.30%。と高い割合で検出された。本調査はミャンマーの下痢原因菌を分子生物学的手法で解析した最初の報告である。さらにこの地域で分離したアエロモナスの性状についても検討を加え、分離した菌がこれまでとは異なるプロテアーゼ性状を示すことも明らかにした。
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