フィリピン国、ベトナム国などアジアの国々において臨床的にデング熱、デング出血熱疑われる患者血清から、蚊培養細胞C6/36細胞、サル細胞LLC-MK2細胞、ヒト単核球系細胞K562細胞を用いてウイルス分離を行うとともに、RT-PCR法とRT-LAMP法によるウイルス遺伝子の検出、ELISA法を用いて抗体検査をした。また同時に患者の臨床データをデータベースに入力した。分離したウイルスは長崎大学熱帯医学研究所に保存するとともにそれぞれのウイルス株について、ウイルス遺伝子の全塩基配列をシークエンスして決定し、分子疫学的解析した。さらに、フィリピン国マニラ市のセントルークメディカルセンターおよびベトナム国ホーチミン市において1)のPCR法によりデングウイルスが陽性であった患者の抹消血サンプルについてフローサイトメトリーで解析しデング感染細胞を検出し、種々の細胞マーカーについての反応性を検討した。この結果、デングウイルス感染が疑われる患者75名のうち7名の患者がRT-PCR法によってデング3型ウイルス陽性を示した。このうち5名の患者血液でCD19陽性細胞(B細胞)にデングウイルス抗原が認められ、1名の患者ではCD16陽性細胞(NK細胞)、残りの1名の患者ではCD19陽性細胞とCD16陽性細胞の両方の細胞群にデングウイルス抗原が認められた。これらの患者血清からウイルス分離をおこなっており、遺伝子解析結果との相関についての解析が進行中である。
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