研究課題
フィリピンとベトナムなどの東南アジア各国においてデング出血熱患者の末梢血B細胞にウイルス感染が疑われた症例から複数の培養細胞を用いてウイルスを分離しその遺伝子解析を実施した。その結果、同じ流行、地域においても異なる遺伝子的背景をもつウイルスが流行していることを明らかにする一方で、ネパールにおいて初めてデングウイルス感染が存在することを科学的に実証した。またベトナムの患者から分離し、B細胞系の細胞に高い親和性をしめしたデング2型ウイルス株(K株)については、宿主細胞上のどの分子にウイルス粒子が結合するのかを明らかにするために、プルダウンアッセイを実施するとともに、マイクロアレイの手法を用いてヒト細胞膜上に存在がしられているタンパク質のなかから、7種類のK株ウイルス受容体蛋白質候補を同定した。現在ノックダウンアッセイにより最終確認をしているところである。また、K株が感染(あるいは結合)した培養細胞では各種のサイトカインが分泌されることが判明した。さらにこのうちの幾つかのサイトカインは血管の透過性を亢進させる性質をもつものであることが明になった。このことから、デング出血熱で顕著でありかつ重症化の要因となっている血管からの血漿の急激な透過性亢進がウイルス側の要因により制御される可能性が示唆された。今後は、上記の受容体を同定したのち、血管透過性亢進を刺激するサイトカイン分泌までの細胞内シグナル伝達系がどの様になっているのかを解明する予定である。
すべて 2008
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