研究課題
CD22はシグレック2とも呼ばれBリンパ球抗原受容体を介するシグナル伝達を負に制御することによりBリンパ球の活性化を制御する膜型レクチン分子である。また、CD72はC型レクチン様ドメインを持つ膜分子で、CD22と機能重複があり、CD22同様にBリンパ球の活性化を負に制御する。CD22およびCD72には遺伝子多型があり、多型間での機能的差異が示唆されている。そこで本研究では、これらの遺伝子の多型が、急性感染症への抵抗性に関係するかを明らかにするため、中国等でのSARS患者、SARS患者と接触があったもののSARSを発症しなかったもの検体におけるCD22およびCD72の遺伝子多型を検索することを目的とする。まず、CD22およびCD72の既知の多型についてPCRで遺伝子増幅後、得られた遺伝子フラグメントの長さまたはDNA配列を決定することにより遺伝子多型を決定する多型検出系を確立した。次いで健常人を対象として、CD22およびCD72遺伝子多型を検索したところ、CD72は多型間で強い連鎖不平衡を認めたが、CD22では連鎖不平衡は認めなかった。そこで、SARS患者と、患者に接触したものの発症しなかったものの約100名のサンプルについて、CD22については7つ多型、CD72については1つの多型の型を決定した。その結果、有意差はないもののCD72の多型では重症患者と軽症患者の間でオッズ比が4程度の差が見られ、CD72が感染症に対する抵抗性を規定することが示唆された。
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