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2006 年度 実績報告書

慢性萎縮性胃炎に及ぼすヘリコバクタ・ピロリ菌の病原性の民族疫学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 18406022
研究機関大分大学

研究代表者

青木 一雄  大分大学, 医学部, 助教授 (60201282)

研究分担者 三角 順一  大分大学, 医学部, 教授 (40109658)
海老根 直之  大分大学, 医学部, 助手 (30404370)
キーワードヘリコバクタ・ピロリ感染 / 胃がん / タンザニア / ドミニカ共和国 / 民族疫学
研究概要

ドミニカ共和国での健康調査(上部消化管疾患健康調査)を平成18年8月にサントドミンゴ(Santo Domingo)市、及びタンザニア連合共和国での健康調査を平成18年8月〜9月にキバッハ郡(Kibaha county)で行い、文書で説明し同意が得られたそれぞれ278名、及び537名、計815名の対象者に対して実施した。調査で得られた血液は、現地にて遠心分離後血清サンプルとして冷凍保存のまま日本に持ち帰り、ヘリコバクタ・ピロリ(H.pylori)抗体、血清ペプシノゲンI、II値、血清ガストリン値を測定した。また、同時に実施したアンケート調査票のデータは、現地、あるいは本邦にてデータ入力、及び確認作業を行い、本邦にて血液検査データと統合した後、分析の用に供した。現在、アンケート調査票(対象者の属性(調査地域、性、年齢)、対象者の生活習慣(喫煙、アルコール飲酒、食習慣、食生活など)、生活環境、上部消化管疾患既往歴、及びそれら疾患に関係する自覚症状の有無など)とヘリコバクタ・ピロリ(H.pylori)感染及び慢性萎縮性胃炎(CAG)との関連性について疫学的に検討を加えているところであるが、これまで行った分析により、以下のような結果を得た。若年者(15歳未満)において、0〜5歳において、ドミニカ共和国及びタンザニアにおいてヘリコバクタ・ピロリ感染率及び慢性萎縮性胃炎ともに有意な差は認められなかったが、5〜10歳においては、ヘリコバクタ・ピロリ感染率は、ドミニカ共和国、及びタンザニアにおいてそれぞれ45.1%、及び632%であり、また、10〜15歳においても、58.4%及び75.2%であり、同年代の小児におけるヘリコバクタ・ピロリ感染率はタンザニアにおいて有意に高かった。同様に、慢性萎縮性胃炎も、ドミニカ共和国とタンザニア間で、5〜10歳において9.1%、及び28.6%、また10〜15歳において15.8%、及び24.3%とタンザニアでの慢性萎縮性胃炎の有病率が高い傾向を示していた。今後、生活習慣とヘリコバクタ・ピロリ感染、及び慢性萎縮性胃炎の関連について、アンケート調査票で聞き取った食生活や食習慣との関係を含めて、現在検討中である。なお、ヘリコバクタ・ピロリ細菌の病原性の指標になるCagA抗体の測定も保存血清(タンザニア(2001年)、中国(1996年)、日本(1993年))を用いて開始しており、その結果CagA抗体陽性率は、タンザニア(2001年)においては、89.8%、及び中国(1996年)においては、54.0%、並びに日本(1993年)においては、63.8%と大きく異なっていることが明らかになった。今後これらの差異の成因を明らかにするため、4か国での健康調査を推進し、対象者数を上積みするとともに、生活習慣とCagA抗体を含めたヘリコバクタ・ピロリ感染や慢性萎縮性胃炎との関連について検討を行う予定である。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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