研究概要 |
グローバルに使用されている環境化学物質と生殖、胎児毒性影響との因果関係を明らかにすることは,人類の存続に直接関わる生殖機能を正常に維持し,次世代を担う胎児の健全な出生をサポートするための予防医学的あるいは臨床医学的方策を決定する上で極めて重要である。また,急速に産業化しつつある中国およびこれまで学術交流が乏しいイランとの研究交流を推進することは重要な社会的かつ学術的意義があると考える。以上より本研究の構想にいたった。本研究では,妊娠,出産に至るまでの女性生殖機能影響,ならびに胎児、新生児に出現する先天異常障害の量一影響(反応)関係を,開発途上国を対象として明らかにすることを目的としている。 平成19年度では,テヘラン医科大学,上海交通大学および大連医科大学の付属病院および関連病院に出産の目的で訪れた妊婦,その配偶者および胎児から以下を収集した。(1)母親(妊婦)の静脈血および月臍帯血(出産時),尿。(2)対象者が常用する食物,飲料水,薬品(民間薬等があれば),化粧品のサンプル。(3)母親の年齢,体重,身長,血圧,教育歴,収入,分娩形態,職歴,喫煙、飲酒,既往歴(周産期異常を含む),妊娠、出産歴,飲料水供給源(水道,井戸など),牛乳消費量等。(4)新生児の出産週齢,身長,体重,頭囲,胸囲,Apgar score先天異常(体表奇形ほか)等。(5)父親(配偶者)の年齢,体重,身長,血圧,教育歴,収入,職歴,喫煙、飲酒,既往歴,飲料水供給源(水道,井戸など)牛乳消費量等。本年度では,約200分娩で血液を採取し,測定した。現在,新生児の体格との関連を分析中である。
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