研究分担者 |
酒井 徹 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (40274196)
中森 正代 お茶の水女子大学, 生活科学部, アソシエイト・フェロー (40380034)
武田 憲明 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30206982)
吉池 信男 独立行政法人国立・栄養研究所, 栄養調査研究部, 部長 (80240232)
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研究概要 |
乳幼児の亜鉛投与を実施するに際し、亜鉛の投与量に関する考察が必要であり、乳幼児の母乳と離乳食からの亜鉛摂取量の把握が必要である。そこで、母乳中の亜鉛濃度および、離乳食からの亜鉛の摂取量について調査を実施しか。 母乳中の亜鉛濃度は、母親が亜鉛欠乏状態にあると低濃度となることが報告されている。調査地域で無作為に抽出した60名の授乳婦(授乳6-12ヶ月)において、亜鉛欠乏者は55.4%(31/59人)であった。母乳中の亜鉛濃度は、授乳6-12ヶ月と比較して、授乳9-12ヶ月において有意に濃度が低く(p<0.01)、授乳6-8ヶ月齢(幾何平均(95%CI))で0.67(0.61,0.79)ing/に9-12ヶ月で0.70(0.55,0.80)mg/Lであった。調査地域の授乳婦の母乳濃度は、米国の授乳婦の報告(乳幼児の推定亜鉛必要量の算定に用いられる標準値)と比較すると、低かった。 離乳食からの亜鉛摂取量について、調査地域で無作為に抽出した6-18ヶ月齢の乳幼児120名を対象として3日間の24時間思い出し法および秤量法による食事調査を実施した。離乳食からの亜鉛摂取量(中央値(25,75バーセンタイル)は6-8ヶ月齢の母乳保育児で1.38(0.98,1.80)mg/d、9-11ヶ月齢母乳保育児で1.87(1.10、2.68)mg/d、12-18ヶ月齢母乳保育児で1.93(1.33,2.36)mg/dであり、推定必要量の約半分程度であった。なお、12-18ヶ月齢非母乳保育児の亜鉛摂取量は、2.83(2.02,4.03)mg/dであり、母乳栄養児と同様に推定必要量の約半分程度であった。 以上より、調査地域の乳幼児の亜鉛摂取量は推定必要量の約半分程度であり、その不足を補うには毎日約4mg(推定吸収率10%)の補給が必要であることが示唆された。
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