研究概要 |
本年度は乳幼児の亜鉛の栄養状態と感染症発症、身体的発育との関連について検討を進めた。調査地域より160名の妊婦を選出し、生まれた児が18ヶ月齢になるまでの感染症の発症、身体的発育、母乳・離乳保育、予防接種歴について追跡調査した。感染症の発症は、WHOの診断基準(1999)を参考とし、現場のフィールドワーカーの意見も取り入れて作成した診断基準を用い、以下の項目について評価した。(1)下痢症(1)急性下痢症、2)赤綱、3)慢性下痢症)、(2)呼吸器感染症・肺炎・中耳炎、(3)麻疹。感染症の記録は、児の母親が発症状況を毎日記録し、その母親の記録を基にトレーニングを受けた現地調査員が2週間毎に聞き取り調査を行った。急性下痢症以外の感染症はトレーニングを受けた医師による診断を記録した。身体的発育は、トレーニングを受けた現地調査員が毎月測定を行い、WHOの成長曲線(WHO, 2006)に基づき、評価した。亜鉛の栄養状態は生後9ヶ月齢において評価した。 追跡調査のモニタリングは、研究代表者および分担研究者が現地を訪れて確認を行った。感染症の発症状況等、現地で回収しているデータは、ベトナム国立栄養研究所の研究者らと共同で内容の確認を行った。データ入力は、当初Epi Infoを用いて進めていたが、出力内容が複雑であることから、FOXPROに変更した。 調査地域の74.5%(79/106人)の児が亜鉛欠乏状態にあることが示されており、現在は亜鉛の栄養状態がその後の感染症の発症および身体的発育に及ぼす影響について解析を進めている。その結果は、6月に最終報告書として提出予定である。
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