研究分担者 |
川添 和義 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00248296)
村上 光太郎 崇城大学, 薬学部, 教授 (10035553)
樋口 富彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50035557)
柴田 洋文 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00093865)
柏田 良樹 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30169429)
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研究概要 |
今回調査の対象とした地域は雲南省西部(大理市)および南東部(紅河哈尼族彝族自治州)で,この地域に居住する主な少数民族はペー(白)族,ハニ(恰尼)族,ミャオ(苗)族などである。各民族の密集する居住地に行き,以下の方法で情報を収集した。なお,採集した生の薬物はさく葉とし,乾燥品はそのまま標本とした。これらは中国科学院昆明植物研究所および徳島大学薬学部で保管している。 1.民族薬市場で売られている薬物を収集し,その売人に採集場所,効能,使用法などをインタビューする。可能であれば,売人にその採集場所を案内してもらう。 2.民族薬の知識が豊富な人物を訪ね,使用している薬物,効能,使用法などをインタビューする。収集できた薬物情報は全部で221件で,そのうち193件について種の同定が終了した。今回も昨年度同様,植物,動物,鉱物由来の薬物を収集することができた。本年度の調査では,大理地方で4月に開催される「三月街」と呼ばれる民族祭において売られる薬物情報についても採集した。その結果,ここではチベット族,ウイグル族が多く医薬品を販売していることがわかった。また,全体的に情報はミャオ族の薬物が最も多く,山間部に広く分布するミャオ族にとって,伝承薬は重要な医療手段であることが推察された。使用目標としてはリウマチ,外傷,婦人科領域と非常に多岐に渡っていたが,B型肝炎,腎結石,がんなど,現代の病名に基づく治療薬も多く見られ,伝統医薬品が社会に根付いていることを伺わせる。なお,紅河哈尼族彝族自治州に関しては6年前にも調査を行っているが,得られた薬物情報はかたり里たっていた。
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