研究課題
最近の研究により心筋症の病因としてC型肝炎ウイルス(HCV)が重要な病因であることが明らかになってきた。さらに、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、NT-proBNPや心筋トロポニンI、心筋トロポニンTはHCVによる心筋疾患の治療経過の判定や予後の推定に有用であることが明らかになりつつある。最近、われわれはHCV抗体陽性患者についてBNP、NT-proBNP、トロポニンTを測定することにより、HCV心筋疾患が容易に診断できることを明らかにした。パキスタンのSheikh博士との共同研究により、547例のHCV感染者において、NT-proBNPを測定したところ、15.5%が126pg/ml以上の高値を示し、HCV感染により高頻度に心筋傷害が存在することが示唆された。また、中国の北京大学のWang博士との共同研究において、HCV感染者217例のうち37.3%、B型肝炎ウイルス感染者336例のうち7.7%がNT-proBNPが100pg/ml以上を示した。このことからHCV感染では高頻度に高度の心筋傷害をきたすことが明らかとなり、また、ローマ大学Barobaro博士との共同研究により13例のHCVによる拡張型心筋症ではHCVI型7例、II型4例、III型1例である。BNPは平均254±182pg/ml、トロポニンI0.15±0.07ng/mlと高値を示し、肝機能以上は全例でみられた。エジプトNegm博士との共同研究では、40例のHCV感染者のうち心エコー図上の異常は58%にみられ、左室肥大34%、駆出率の低下25%、左室拡大18%を認めた。また、NT-proBNPは47%で高値を示した。
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