研究概要 |
2007年度,当教室の教室員数名(研究代表者を含む)をタイ国チェンマイ市に年2回派遣した。チェンマイ大学およびナコンピン病院において,現地の研究協力者およびスタッフとともに市中肺炎とインフルエンザに関連した臨床研究を開始し,2008年2月の時点で39例の肺炎症例を登録している。このうち11例はHIV感染者(平均CD4値227.5)で,28例は非HIV感染者(平均CD4値533.5)であった。これまで原因菌として喀痰あるいは血液よりStreptococcus pneumoniae,Haemophilus influenzae,Moraxella catarrhalis,Klebsiella pneumoniae,Pseudomonas aeruginosa,Burkholderia pseudomalleiおよび結核菌などが分離されている。これらの市中肺炎症例より上咽頭拭い液の採取を行い,チェンマイ大学に-80℃で凍結保存している。既にPCRによるインフルエンザのタイピングを開始しているが,今後症例が蓄積された後に日本に輸送し,ウイルスの培養を行う予定である。これまで,現地での研究の遂行に際して検体の輸送や検査結果の病院へのフィードバックなどいくつかの問題点が発生したが,現地でのスタッフ会議を繰り返し,問題の解決にあたった。今年に入った症例登録もスムーズに行えるようになってきている。
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