研究課題
今年度は、フランクフルト、ミュンヘン、デュッセルドルフ、パリ、ブリュッセル、ロンドン、バンクーバー、シンガポール、ニューヨーク、マニラ、北京の11都市を訪問し、在外公館邦人援護担当領事および医務官を対象として邦人精神科救急事例の受療行動に関する半構造化面接を行うとともに、現地精神科医療機関や緊急医療搬送業者を訪問し、邦人精神科救急事例の受け入れ状況などについて聞き取り調査を行った。合計74例の在外公館援護事例に関する面接結果を解析したところ、その約半数が日本で精神科受診歴を持っているにもかかわらず紹介状を持参していた事例が1例もないなど、渡航による治療分断の実態が明らかとなった。さらに国内外において治療分断を引き起こす複数の要因が抽出された。この知見の一部は在ニューヨーク邦人精神保健関係者の会および第14回多文化間精神医学会で発表し、平成19年4月に開催されるJSTP+WPATPS+WACP joint meeting in KamakuraのシンポジウムPsychiatric emergency across cultureにおける発表が確定している。同年9月に開催される第15回日本精神科救急学会においても邦人海外渡航者の精神科救急をテーマとするワークショップが企画され、発表の予定である。一方、現地精神医療資源調査結果より、各訪問地における邦人精神科救急事例の現地治療のあり方および国内医療機関との連絡支援のあり方について検討した。特にロンドン、パリ、シンガポール、ニューヨークでは現地在住邦人精神保健専門家達との交流を深め、現地で進みつつある職際的連携を後方支援すべく、新たな情報ネットワーク作りに着手した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
こころと文化 5・2
ページ: 112-115
第14回多文化間精神医学会抄録集
ページ: 45
精神神経学雑誌 108・8
ページ: 828-831
海外勤務と健康 24
ページ: 38-40
ページ: 121-132
28th International Congress for Occupational Health, Abstracts
ページ: 286