研究課題/領域番号 |
18500007
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
長岡 浩司 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 教授 (80192235)
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研究分担者 |
藤原 彰夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30251359)
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キーワード | 情報理論 / 量子情報理論 / 大偏差理論 / 指数型分布族 / 情報幾何 / 通信路容量 / 情報スペクトル |
研究概要 |
通常の(古典)確率論において指数型分布族が現れる重要な問題として、独立同一分布に関する大偏差理論がある。そこでは相対エントロピーのルジャンドル変換による表現を介して情報幾何学の言葉で問題の本質をとらえることができる。この問題はまた、二つの確率分布の識別問題(単純仮説検定)の漸近理論(Hoeffdingの定理)と密接に関係している。量子情報理論におけるHoeffding型定理は最近証明が完結したが、この定理における量子相対エントロピーの役割は古典論に比べてきわめて限定的であり、さらに大偏差理論に相当するものが見あたらないため、情報幾何的なアプローチをこばんでいる。これらの状況を整理して第21回量子情報技術研究会において発表を行うとともに、今後の方向性について検討を行った。 (古典)情報理論において、通信路容量を数値的に計算するアルゴリズムとしてArimoto-Blahutアルゴリズムが知られている。情報幾何の観点から見ると、このアルゴリズムには指数型分布族と相対エントロピーの間の関係が本質的に関わっている。同様の観点のもとでNagaoka(1998)によって提案された量子Arimoto-Blahut型アルゴリズムをさまざまなキュービット通信路に適用し、そのパフォーマンスについて詳細に検討を行った。また、古典情報理論における情報スペクトル理論において、従来あまり扱われてこなかったVF(可変長-固定長)およびVV(可変長-可変長)符号の漸近特性について検討を行った。これらの成果について第32回情報理論とその応用シンポジウムにおいて発表を行った。
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