研究概要 |
大規模データ処理を,「乱択(ランダムサンプリング)の手段を用い手際良く」「データの構造を保ちつつ」「要約する」,ことで効率化するアプローチを「乱択アルゴリズムによる情報構造要約」と呼ぶことにしよう.本研究の目的は次の2点である:(i)乱択アルゴリズムによる情報構造要約の展開:このアプローチが適用できる対象(データ構造,要約)を新たにできる限り発見し,アルゴリズムを構成,プログラムに実装し効率を検証する.(ii)乱択アルゴリズムによる情報構造要約の特徴付:一般的には,このアプローチはいかなる対象に適用できるかを特徴づける.特に,このアプローチの及ばない対象を発見し,その特徴を考察する. H18年度は上記研究目的のうち「(i)乱択アルゴリズムによる情報構造要約の展開」に相当する部分,特に成功例の解析として「疎フーリエ表現サンプリングアルゴリズム」の理論的解析と抽象化,実装による現実的計算量評価を行って来ている.理論的解析と抽象化では,通常の複素関数のフーリエ展開以外の対象に類似アルゴリズムが得られるか,どのように得られるか,という問題について(I)ブール関数等,他の関数クラスへの拡張(II)フーリエ展開以外の直交展開への拡張(III)完全な疎フーリエ表現より緩い表現をより小さい手間で導出する手法,のそれぞれに定式化と必要条件整理を行った.これらを実現するのに十分な手法を検討中である.また,疎フーリエ表現サンプリングアルゴリズムについて,その主要部を計算機実装した.残りの実装と動作の解析を継続中である.
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