研究概要 |
実数などの距離空間の上の計算構造を与える構造に,formal ballのなす順序集合がある。この順序集合には,順序集合の上の計算構造に対応した,Scott位とLawson位相という2つの位相が入る。このうち,Lawson位相は,formal ballに関して正の情報と負の情報の両方を与えるものであり,⊥入り文字列の考え方と対応している。一方,formal ballの空間には,自然に直積位相が入る。この2つの位相の関係について,直積位相のほうがLawson位相よりも強く,両者が異なることがあることを示した。また,正の情報と負の情報の間に,不定の領域が存在するが,それは,もとの距離空間と1:1の対応をなし,それを通じてLawson位相が距離空間の上に導出する位相が存在する。その位相は,距離空間に一般化された双曲線の片側を部分基にしており,双曲位相と名づけた。双曲位相が,不定な領域の取り方に依存せず,常に同一になること,また,距離空間上の距離位相と双曲位相が一致するかという問題と,formal ball空間上で,積位相とLawson位相が一致するかという問題が同値になることを示した。この結果については,投稿中である。
|