研究概要 |
1.連続な空間の計算構造の表現の一つである,距離空間上の形式球のなすドメイン構造が、距離位相とは異なる,自然な位相構造,(双曲位相)を距離空間上に導出することを示した。形式球のなす空間上で積位相とLawson位相が一致することと距離空間上で距離位相と双曲位相が一致することが同値となる。この結果を論文にまとめた。また,幾つかの具体的な距離空間で,この2つの位相が一致するかどうかを調べ、国際会議で発表した。これは,計算概念が連続な空間上に導出する新しい数学的構造であり,この位相構造および,それと関係した近似概念について、さらに研究を深めたい。 2.実数空間の文字列表現であるグレイコードと二進展開を比べる中で,有限時間計算可能関数の概念を定義し,有限時間計算可能性を保存するコード変換について調べた。二進展開からグレイコードへの変換は有限時間計算可能性を保存するコード変換であるか,逆はそうではなく,グレイコードの方が,二進展開より多くの有限時間計算可能関数を持つ。このことを国際会議で発表した。ある条件下で有限時間計算可能性を保存する変換の定式化を行った。無限言語の理論や,プログラミング言語理論との関係も見えてきたので,そういう観点から研究を続けたい。 3.計算可能な不連続実関数について考える時に現れるフラクタル構造について,無限の分岐の繰り返し関数族が定義するフラクタルの理論としてフラクタル次元などについて調べ、国際会議で発表し、論文を投稿した。再帰的に定義された実関数は自然にフラクタル構造を持つが,この研究の発展により,フラクタル理論から,そのような計算の特性が見えてくることを期待している。 4.ボトム入り文字列表現が生成する部分基に無駄がないことを意味するindependent subbaseをもつ空間の定式化を行った。
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