| 研究概要 |
要求獲得に必要なドメイン知識をステークホルダ毎の特性に基づき提供するために,ゴール指向分析に関する調査および知識表現法に関する調査と実験を行った.ゴール指向分析は情報システムが遂行する処理が本来何のために実現されているのかについて分析することで,別解を探したり,相矛盾する機能を除去したりするために利用される.この考え方を拡張し,本来誰のためのゴールかまでさかのぼることで,機能とステークホルダの対応をとることが可能となる.知識表現法に関する実験には我々が既に確立している既存類似システムの比較に基づき,ドメイン知識を収集整理する手法を用いて収集したドメイン知識を用いた.(本手法を支援するツールの完成が遅れたため,初期時点でのドメイン知識は手法にのっとり手作業で行った.)表現法として図式表現や箇条書き等の異なる表現法がどのようにドメイン知識利用者に影響を与えるかを実験を通して明らかにした.
結果として,各ステークホルダがめさすゴール(何のために知識が必要なのか)と,どのような表現視点に注目しているのか(例えば情報の流れに注目しているのか,それともシステムが提供する機能群に注目しているのか等)がステークホルダの特性に応じたドメイン知識提供のカスタマイズに有用であることが確認できた.特に表現に関しては,複数の実験データから統計的に有意な差異を得ることができた.
これらの知見をもとにドメイン知識(オントロジーに基づく)要求獲得支援ツールのプロトタイプを作成し,その運用実験を行った.
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