本研究は高性能な多重並行処理環境を、慣習的なマルチスレッド実行方式とは異なる以下のような特徴を持つマルチスレッド実行方式にもとついて構築しようとするものである;プログラムは半順序関係を持つスレッドから構成され、スレッドは実行開始後には終了まで実行が中断されない命令列として構成される、この場合プログラムは、逐次実行列であるスレッドをノードとし、スレッド間の継続関係をエッジとするようなデータフローグラフとなり、本質的に多重並行処理に適合しやすいものとなる.また、スレッド内の命令は中断せずに実行されスレッド実行中は動的な環境管理は不要である。そのため逐次処理部と並行処理制御を系統立てて扱うことでシステム構成の単純化や性能の向上が期待できる。 19年度は主に以下のような点を中心に研究を行った: ● 多重に発生する外部イベントを処理するような場合に、外部イベントを割り込みで処理するのではなく、本研究が対象とする方式である継続点を用いた細粒度スレッド方式で処理する場合の予備評価を行った。この点についてカスタマイズされたアーキテクチャ上での効果を確認し、国際会議等で発表を行った。 ● 本研究では、高性能汎用プロセッサを対象として考慮する。そのようなプロセッサは、参照り局所性を活用して性能向上を達成するために多層のメモリ階層を持っている。スレッドのスケジューリング時に参照の局所性を考慮して高性能プロセッサのメモリ階層の活用を可能とする方式の評価を行いワークショップなどで発表を行った。
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