本研究では、センサーネットワークにおけるセンサーノードの位置推定方式を開発し、実際に位置情報サービスを提供するミドルウェア(ロケーションサーバ)を実装し、いくつかのアプリケーションに適用して、その有効性及び実用性を検証することを目的としている。具体的には、以下の項目について研究する。 (1)時刻同期手法に基づくセンサーノード間距離のToA(Time of Arrival)測定手法 (2)ToA測定によるセンサーノード間距離を使用したノード位置の推定手法 (3)センサーノードが移動する場合のノード位置の追跡(トラッキング)手法 (4)位置情報サービスを提供するミドルウェア(ロケーションサーバ)の実装と評価 本年度は、上記(1)及び(2)に関して、時刻同期に基づくノード間距離のToA測定手法と、測定した距離を使用したノード位置の推定手法について理論面から検討し、アルゴリズムを確定した。次に、確定したアルゴリズムに基づいてプログラムを開発し、シミュレーションで評価し、本手法の有効性を確認した。その後、実験環境に必要なプログラムを開発し、複数のセンサーノードを使用して評価を行った。その結果、本研究で実現した位置推定手法は、従来のmulti-laterationに基づく手法よりも、位置推定の誤差が小さく、有効な手法であることが実証された。 本年度は、さらに、(4)に関して、センサーネットワーク向けの分散型マイクロストレージのアーキテクチャ、Jiniによる柔軟なゲートウェイサービス、時間指定可能な質問処理システムなどに関して検討し、一部のソフトウェアを試作・評価し、位置情報サービスを提供するミドルウェアの機能要件を明らかにした。
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