研究概要 |
本年度は知識循環型ソフトウェア開発環境の基盤となるリプレイヤとシミュレータの一部の開発を行い,実証実験を行った.リプレイヤはEPM (Empirical Project Monitor)で自動収集した開発データをソースコードの増加,メールログの解析,担当者の配置の変化などを再現するツールである.リプレイヤを使って学生実験を行った結果,ソースの増減だけでは発見できなかったプロジェクトでの事象を解析して見つけることができた.さらに,実プロジェクトのデータで実証実験した結果,メールログとソースコードの関係より,ハードディスククラッシュによるプロジェクトへの影響や不要なソースコードの整理などの定量的データには表れないプロジェクトの事象を抽出することができた.ハードディスククラッシュやソースコードの整理は通常のプロジェクトでは発生することがあり,これらを知識としてリプレイヤで抽出できることを確認した.さらに過去のプロジェクトを再現するだけのリプレイヤにシミュレーション機能を追加した.これは,過去のプロジェクト再現途中にて特別な事象を発生させたときのプロジェクト進捗の変化をシミュレーションするハイブリッド型シミュレータである.簡単なシミュレーションモデルを組み込んだプロトタイプを開発した.例えば,プロジェクト実施途中で新しい人員を作業に割り当てた場合のソースコードの増減の変化をシミュレーションする.過去のプロジェクトの再現とともに仮想の事象を発生させる機能を持つことで,プロジェクト管理者教育にて過去プロジェクトからの知識とシミュレーションモデルの知識を獲得することが可能となるハイブリッド型シミュレータを開発した.
|