研究概要 |
本研究の目的は,誤りからの自己回復機能を持つディペンダブル・プロセッサをSoC(System on a Chip)レベルで実現するための基礎的検討をおこなうことである.本年度は,キャパシタ放電にともなう電磁波がひきおこす過渡故障に耐性を持つプロセッサの設計方法について取り扱った. 本研究の提案手法ではレジスタのみを二重化し,一方のレジスタを用いて行った演算の結果を他方のレジスタに格納することで,冗長化したレジスタの両方に同じ誤りが発生することを防いでいる.また更新した値を検証することで誤りの検出を可能とし,誤り検出時は再度同じ演算を行うことで誤った状態を上書きする.この方式では命令1ステートごとに演算と比較を行うため,通常のプロセッサに比べ2倍の実行時間がかかるが,信頼性の著しい向上が見込める. 本研究では,この方式を適用したプロセッサを設計し,そのハードウェアオーバヘッドを評価した.さらに顕在化した誤りに対する状態回復率を信頼性の評価尺度として,シミュレーションによる評価を行った.提案手法を適用したプロセッサでは,10,000回の実行のうち4,422回で誤りが発生したが,そのすべてで状態回復に成功し,その回復率が100%であることを確認した.
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